●トラィアル&エラー
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トラィアル&エラー
Trail and Error
アントニイ・バークリー
Anthony Berkeley
鮎川信夫 訳
創元推理文庫 123-2
『ロンドン・レビュー』誌の寄稿家トッドハンター氏は動脈瘤で主治医からあと数ヶ月の寿命だと宣告された。そこで、彼は余命短い期間に有益なる殺人を犯そうという結論に達した。しかし、生と死に関して理論的だが異常な見解を持つ編集長や、アマチュア犯罪研究家、快楽のために一家を犠牲にする作家、犯人の告白を信じない捜査官などのまえに事態は従来の推理小説を皮肉るようなユーモアをまじえながら意外な方向へと発展した。『殺意』につぐバークリーの畢生の大作。
トッドハンター氏は裕福な奇妙な独身紳士。余命僅かと聞いて思いついたのが有益なる殺人。様々な人々との会話や交流の中からこれこそ間違い無く有益なる殺人と信じて一念発起首尾よく犯行にぴったりな密会を取り交わし、いざ乗り込んでいきますが・・・・。
前半は有益なる殺人の話、中盤はこれはという相手探し、そして、誰も捕まらないだろうと思い込み自分が自然死した後に犯行を告白する文章を残して旅に出ますが、旅先で犯人が捕まり有罪になったことを知って慌てて帰国。
前代未聞の自らを犯人と証明するための裁判へとなだれ込んでいきます。
イギリスの裁判制度を多少なりとも理解するのに苦戦するかもしれません。陪審員制度はその通りなのですが、イギリス流の部分もあり、ちょっとわかりにくいところがあります。もうその辺はあぁ、そういうものなのね、なるほどね、ヘーそーなんだ、と割りきって読んだほうがこのメインストーリーにのめり込めると思います。
構成も凝っていて、最後の最後の一文まで凝っています。
確かに古めかしいと感じる部分もありますが、ストーリー自体やひねりのきかせ方は新鮮な部分もありました。
日本で陪審員制度が始まったことが影響しているのかもしれません。
名作古典と言われていますが、そのとおりだと思います。
手に入ることがあれば、一読をお薦めいたします。