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2011年04月14日

●渇き


渇き
The Triggerman's Dance
T・ジェファーソン・パーカー
T.Jefferson Parker
渋谷比佐子 訳
講談社文庫

女性記者レベッカが射殺された。彼女の「婚約者」と「恋人」は容疑者を突き止めるが、その人物は元FBI捜査官だった。狂信的な秘密組織を率い、「自由の砦」に住む男のもとに潜り込んで復讐の機会を狙う「恋人」は、仇の娘を愛し始めるーーー夢のように美しい大地を舞台に、追憶と哀愁が全篇に漂う傑作サスペンス。


オレンジ・カウンティの美しい自然の中にある、狂気に取り付かれたとも思えるほどのセキュリティに固執する元FBI捜査官が作り上げたセキュリティ会社の砦。
この描写の対比がなかなか面白いです。

多民族国家アメリカの中での根強い人種差別と愛する人を失った虚無感が同居する仇役のホルトの存在感がいいですね。
主人公も、彼と手を組んで復讐の機会を虎視眈々と狙う婚約者のFBI捜査官もなかなかいいですけど、ね。

メインストーリーもさることながら、雄大に語られるオレンジ・カウンティの情景、狩猟解禁日のハンティングシーン、ラストの対決シーンの風景描写が素晴らしいです。
風の表現が豊富で自分もその中に立っているような気持ちになりました。

ストーリー自体はシンプルで、お約束的な要素にタイムリミットまでが追加されてこれでもか、これでもかと煽るかのように進みます。こういうのは、好きなタイプなので読んでいて楽しかったですね。

また、たくさんの犬たちが登場し、主人公やヒロインを取り囲みます。自分は猫派なんですが、ジョンの犬たちにはホッとするような愛くるしさを感じました。

この後、この作家は「サイレント・ジョー」で大化けするんですが、その片鱗を感じさせる作品です。

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